30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来 ㉘

とある男性美容師の過去・現在・そして未来

毎月第一週目には店長会議があるらしい。

各店の店長が事務所に集まってオーナーと会議を1日中やるんだとか。

朝の9時から、酷いときには夜の12時を過ぎるらしい。

 

なにをそんなに話すことがあるのだろうか。

 

店長「吉田くん、今日から入客制限で一人一客ね」

 

どうやら、オーナーから「吉田は仕事が遅いからかけ持たせるな」という司令が出たらしい。

 

おいおい、まじか・・・。

 

若干高圧的なオーナー。店長も特に反論もせず受け入れたのだろう。

 

店長が早朝のセットのお客様を寝坊で担当できなかったとき、急遽駆けつけて担当変わってあげたの誰だっけ?

 

・・・俺だよね?

 

そういうのとか、忘れちゃうのかな?

 

部下を守ろうとか、そういうの、ないのかな?

 

まあ、いいでしょう。

 

言いたいこと、いっぱいあるけど。まあいいでしょう。

 

屈辱には、もう慣れましたし。

 

かけ持てないから、もちろん売上も上がりにくい。

 

とはいえ、積み上げた指名客は来てくれるので、保証が切れてもそれを下回ることはなさそうだ。

 

しかし、それではダメなのだ。

 

転職した意味が、ないのだ。

 

同じぐらいに入社したスタイリストは、ランクのお陰で私より若干給料が高い。

 

私より、指名数が少ないのに!

 

店長「来月の会議、吉田くんも参加してね。他の店舗のスタイリストも来るから」

 

なにを言われるんだろう。

 

あの、深夜まで行われる魔の会議で、

 

私はどんな裁きを受けるのだろう・・・

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