『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』を美容師・美容室経営の視点で読む
「結果じゃない」大事なのは、何をどう手に入れるかではなく、どんな気持ちを感じたいかである
この本を読んで、まず感じたのは「覚悟」という言葉の捉え違いだった。
これまで自分は、覚悟とは“大きな目標に向かって突き進むための精神力”のようなものだと思っていた。だが、本書で語られる吉田松陰の言葉は、成功や結果よりも、「自分の立場から逃げないこと」に重きを置いているように感じた。
美容師として現場に立ち、独立し、多店舗展開を目指した。
当時は、「拡大すること」「規模を大きくすること」こそが覚悟だと信じていた。
だが、結果としてそれはうまくいかなかった。振り返ると、あの頃の自分に足りなかったのは根性や努力ではなく、「何を引き受ける覚悟なのか」を明確にできていなかった点だったと思う。
吉田松陰の言葉は、派手な成功論ではない。
むしろ、「自分で選んだ立場を最後まで生きろ」「逃げる理由を作るな」
と、静かに、しかし容赦なく迫ってくる。読んでいて耳が痛くなる箇所も多かったが、それは今の自分が“判断する立場”にいるからこそだろう。
現在は1店舗経営。スタッフは若く、世代間ギャップもある。
正直、楽ではない。
多店舗展開を諦めたことを、どこかで「後退」だと感じていた自分もいた。だが本書を読んで、その認識が少し変わった。
店舗を増やすことが覚悟なのではない。売上を伸ばすことが覚悟なのでもない。今ある状況から目を逸らさず、判断を引き受け続けること。それが覚悟なのだと、腑に落ちた。
美容師や美容室経営は、属人性が高く、正解が見えにくい仕事だ。
だからこそ、「もっと上へ」「もっと先へ」と煽られる言葉に引っ張られやすい。
だが吉田松陰の言葉は、そうした外側の評価ではなく、「自分は今、どの立場を生きているのか」を何度も問い直させてくる。
成功を目指す人には、少し地味に感じるかもしれない。
しかし、現場に立ち続けてきた人、続けることの重さを知っている人にとっては、この本は静かに深く刺さる。
今の自分にとっての覚悟とは、理想を語ることではなく、1店舗の経営者として、日々の判断から逃げないこと。その再確認をさせてくれた一冊だった。
どんな職業、どんな立場でも胸に刺さる、おすすめの一冊です。
ぜひ読んでみてください。



