50万円という契約は、「会社とともに成長していく」という意味があるのだそうだ。
つまり、自分はこの会社とこれから苦楽をともにすることを受け入れるということでもあるのだろう。
今思うと、なんとも「重い想い」である。
当時は情報も少なく、自分を取り巻く環境こそが正義であり、それを信じて疑わなかった。
・小規模の店を買い取らされて不幸な美容師が多い
・小さな美容室に夢や未来なんてない
そう教えられてきたし、そうだと信じていた。
「大型店舗による多店舗展開」こそが正義であった。
そこにしか美容師も客も集まらない。と。
確かに、そうだったと思うし、そういうサロンしかベンチマークしていなかった。
というか、そういうサロンしか求人には載らないし、業界の話題もそのような会社がもてはやされていたので、疑う余地もなかったのだ。
だから会社も、純粋に私の未来を思っての提案なのだろう。
まあ、会社の未来のほうが大事だったとは思うが。当たり前か。
なんとなく、
会社の未来を私に託してきたかのように、プラスに捉えようと考えることにした。
後ろ盾があることは、むしろ幸せなことだと思うし。
自分が第一号になって、もっと報酬を上げていければ、それは社員にとっても未来に希望を持てることだと思うし、自分にとってもやりがいのあることではある。
自身の選択が正解か不正解かなんて、現時点ではわからないし、
正解にしていけばいいのだ。
売上のことばかりに奔走している今の立場を誰かに譲り、更に店舗の財務管理などを任されることは、自分にとってもメリットはある。
だから私はこの提案を受けることにした。
たった1年と数ヶ月で、私は業務委託に転換した。
報酬は減るが、これで少し入客を抑え、管理に回ることができる。
少しは、家族とも時間が取れるだろうか・・・。
そう思った。
さて、実際はどうかといえば・・・。
スタッフに入客させるより、自分がバンバン入客したほうが利益が出ることに気づく・・・。
そりゃそうだ。
歩合給のスタッフが入るべき客を私が入客すれば、
・私は固定給なのでどんなに売り上げても給与は変わらない。
つまり、利益が出る・・・。
会社が、潤う・・・。
私の現状は・・・、
売上は変わらず、給料が減っただけ・・・。
もちろん、休みは増えていない。
私はとっとと自分の店を出したい。
そう思うのである。