人は前に進み、成長すると「役割」が増える。
美容師となってたかが10年で、
結婚し彼氏から「夫」になり
ただのスタイリストから「店長」になり
そんな多忙な中、子供が生まれ「父」になり
業績が認められて形だけでも「経営者」になった。
この頃は、なにかを得ようとするなら、それなりの「犠牲」が必要、そう教えられてきた。
WLB(ワーク・ライフ・バランス)なんて言葉、なかったと思う・・・。
忙しいが、少しは妻と子のために時間を使いたい。
少しでも家庭にために時間を使いたい。
しかし、かけられる言葉は、
「時間よりも、たくさん金稼いでくれたほうが女は幸せよ。」
「知恵がないなら汗を出せ、それができなければ、去れ」
そうなのかな・・・。そう思うべきなのか・・・?
もちろん、少しは旅行に行ったり、家族とともに過ごすこともあるので休みはゼロではない。
「経営者に休みなんかない」
人生、そして経営者の先輩でもあるオーナーにそう言われると、
「・・・ですよね!」
なんて、愛想よく返すしかない。
人生において、「ここぞ」という瞬間は「身を粉にして働く」経験がないと、成長し人の上には立てない。
それもそうであるが、
やはり、私も人間である以上、夫である以上、父親である以上、この役割にも責任を持たなければいけないのだ。
仕事は好きだ。
自分でもここまでよくやったと思う。
もちろん、ゴールなんてないことは知っている。
私には、100店舗のオーナーになる素質はないし、そうなりたいと思ったこともないし、想像もできない。
自分の近くで支えてくれる、笑ってくれる人の為に、そして自分自身のために、今まで頑張ってきた。
美容師として誇れる成績と結果は、自分のような人間には充分に出せたと思う。
深夜まで続く会議、殺伐とした人間関係、擦り合わない価値観・・・。
この社風が、
果たして自分にあってるのだろうか・・・?
約10年、頑張ってきたが、
もう、そろそろではないか・・・?
自分が自分らしくいるための選択を、する必要がある気がしてきた。
もう言おう、
「自分は、自分が思うようなサロンにしたい」
と。


