30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来㊴

とある男性美容師の過去・現在・そして未来

商工会議所、そして本部のメインバンクなどにも融資を相談し、ついに2900万の融資を受けることができた。

どうやら本部の方でも掛け合ってくれたらしいと、あとから聞かされた。

会社としても初のFC出店ということもあリ、私にとっても会社にとっても挑戦であったことは間違いない。

経営の勉強なんて何もしてこなかったのに、

流されるように会社を設立し、

流されるように融資がおりた。

 

これが当たり前ではないという感覚は、どこかに感じていた。

ある程度は自分の脚でできる限りのことはしたが、

やはり「自分の力」ではないことは、明らかだった。

 

もちろん、相談はしたが、

自分で決めた立地、自分で決めた内装、自分で決めたサロンの規模やスタッフ数ではない。

そこはあくまでも会社の求める立地・デザイン・規模での出店となる。

FCなのだから、そういうものだ。

 

なんの疑問も持たず、はじめから月の目標が1000万に設定されたサロン運営をしなければならないのだ。

もはや内装費、広告費・・・、確認はしているものの、わけがわからない。

会社のブランドを借りる形で、ロイヤリティも発生するのだから、

そこに私個人のこだわりは多くは反映されない。

 

そういうものだし、その選択をしたのだから、

突き進むしかない。

そこに協力してくれるスタッフの期待にも応えなければならない。

 

朝から晩までチラシを配り、1件1件訪問し、それ以外は既存のお客様を担当し、オープンまでもちろん休みなんてなかった。

 

責任があるのだから当然である。

 

しかし、ここまで会社の息がかかってくると、

「コケたらどうしよう」なんて怖さはもうなくなっていた。

むしろ、

「まあ、なにかあっても、会社がなんとかしてくれるだろう」

という甘い考えすら生まれていた。

 

今思えば、

ものすごくふわふわした気持ちで、わけもわからず突っ走った独立だった。

 

これは本当に「独立」なのだろうか。

 

この調子で、私はこれから某サロンチェーンのように店舗展開していくのだろうか。

会社設立から独立までの間、

プレイヤーの頃に比べると給料は半分・・・。

 

ということは、

私がもっと給料を上げていくには、

店舗を増やしていく以外ない。

 

それしかないのだ。

 

それが、私も、会社も、

求めていることなのだと、言い聞かせた。

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