30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来 ㉗

とある男性美容師の過去・現在・そして未来

見てくれている人は、見てくれている。

 

私の仕事の速さに、気が付き始めている。

 

粛々と、文句も言わず、目の前のお客様を「早くきれいに」をモットーに切り続ける。

だって、カラーするような客層回ってこないからね!

 

店長に言った。

「なんかー、もう少し複合メニュー(パーマ・カラー)のお客様担当させてほしいですぅ。」

 

店長「んーーー。でも、吉田くん単価低いからな〜」

 

ぶっ殺す!絶対にぶっ殺す!

 

当たり前じゃないか!メンズと学生でどうやって単価上げろってんだ!

詐欺ればいいのか!カツアゲすればいいのか!

 

やってやるよ!それがここの正義ならやってやるよ!

 

以上心の叫びでした。

 

ま、まあ、そうですよね。

 

サロンとしてはランク料を追加してもらったほうが売上あがるし。

 

もういい、辞めてやる。

 

しかし、そんな私の葛藤に気がついてくれている人もいる。

 

そう、レセプションだ。

 

レセ「吉田さん仕事早いしお会計のときお客様嬉しそうだし、また指名したいって言ってるよ。今度フリーのお客様、ランクの希望聴かないで吉田さんに入客割り振っちゃうね!」

 

こういうのを「天使」というのだ。

 

私の地道な取り組みは、天使を味方につけたのだ。

それもそのはず。

 

私はメンズのお客様の指名が誰よりも多くなったのだ。

 

売上や単価では敵わないかもしれんが、「指名数」は確実に伸びているのだ。

 

「妖怪・布たたみ」だった頃が懐かしい。

 

速さと正確さは、結果となって返ってき始めた。

 

私はレセプションのストレスの軽減に一役買うことでよりステップアップできたのだ。

 

「早くてきれいな仕事」というマイルールにもう一つルールを加えた。

 

「頼まれた入客は断らない」

 

もちろん、待たせてしまうかもしれない。

 

しかし、その重圧があるからこそ、効率良い動きを考えながら施術を組み立てるクセが身についた。

 

3人以上掛け持つ心地よい忙しさ。

 

そんなときにオーナーが登場。

 

「吉田くんはなんでこんなに掛け持ってんの?仕事が遅いんじゃないの?」

 

レセ「いや、そういうわけではないんで・・・。」

 

オーナー「だって、待たせてるじゃない。急がせなさい」

 

食い気味でレセプションの説明を遮る。

 

事情を知らないオーナーには、私の仕事は遅いという印象がついてしまったようだ。

 

人生って、うまく行かないもんですね。

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