30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来㊵

とある男性美容師の過去・現在・そして未来

華々しくFC1号店はオープンし、連日大盛況であった。

配りまくったチラシと訪問のおかげだ。

各店からのヘルプもあり、助かった。

 

しかし、いいことばかりではない。

 

当時の会社の営業スタイルは、

「待たせてでも予約を断るな」

であった。

 

実際に独立前の店長のときは、

最大で8名掛け持ったことがあった。

サロンの席が、ほぼ私の担当のお客様。

 

まさに修羅場。

 

嫌でも仕事は速くなる。

速くなければいけない。

 

どんなに待たせようが、

売上こそすべて。

ここでは売上こそが正解。

 

そんな中、ヘルプにきたスタッフの対応や技術によるクレームの電話が10日に1回は来るようになる。

その対応までしなければならない。

 

中には菓子折りもって自宅まで謝罪に行ったり、

服が汚されたからクリーニング代払ってくれだの、同じものを弁償してくれだの・・・。

 

当の本人の反省のしてなさに怒りを覚えながらも、ケツ拭いてやるのもオーナーの仕事と言い聞かせて・・・。

 

売上が上がるのはいいのだが、

その分、ストレスレベルも高まる。

 

今思えば、

若いってスゴイな。

気力と体力で毎日を乗り切っていた。

 

その当時、妻はこう思っていたそうだ。

「幸せそうに見えない」と。

 

確かにそうなのだろう。

確かに心から仕事を楽しんでいただろうか?

とはいえ、会社で誰もやっていないことを、自分は誰よりも先にやっているのだという、

ある種の優越感に後押しされていたのかもしれない。

 

そして必ず成功させなければいけないという責任感で、

なんとか毎日を乗り切っていたのだろう。

しかし、

なんとなく感じていた。

 

あまりにも、「トントン拍子」で駆け抜けすぎて、

自分が本当にやりたいことをやっているのか?

という自問自答・・・。

 

まあ、考えてもしょうがない。

やるだけだ。

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