30年目を迎える美容師の過去、現在、そして未来 ⑪

とある男性美容師の過去・現在・そして未来

ここ30年で初任給は10万ぐらい上がったのではないだろうか。

何もできないアシスタントでもこれだけお給料がもらえるなんて、いい時代になった。

何よりも低予算で多くの情報を得たり、多くの人と繋がれる今の時代とは違い、何をするのにもお金が必要だった。

約10曲のCDアルバムも3000円ぐらいしたし、ゲームソフトも7〜9000円はしたと思う。

メルカリなんてのもなかったし、いまは本当にお金をかけなくても楽しめるコンテンツが満載。

 

アシスタントはモデル探しを今のようにインスタやミニモなんてのもなかったので営業後に「モデルハント」をするしかなかった。

ナンパと間違われるし、足早に逃げるように避けられたり・・・。

とにかく動く、数をこなす・・・。

しかも限られた時間で。

しかも営業後のヘトヘトな状態で。

練習もしなきゃだし・・・

 

とにかくコストパフォーマンス(コスパ)、タイムパフォーマンス(タイパ)が悪いのである。

そもそも、そんな言葉もなかったので、これが普通だったのだ。

それしか知らなかったのだ。

 

そう考えると今は、

動画で学べる、スマホでモデル集める、情報も多い・・・。

 

これって1年以内でスタイリストになってもおかしくないと思うのだ。

 

しかしながら、美容師は技術だけ覚えればいいわけではない。

カットできたらすぐデビューとはならない(そういうサロンもあるようですが)。

 

結局、

街で声をかける、断られる、どうすれば話を聞いてもらえるか考える、話し方や身なりを気をつける、表情を意識する・・・。

 

結果的にこの大変さが「営業力」を育むことになっていたのだ。

美容師は技術職である前に「営業職」

 

我々が経験したことは、決してコスパもタイパも悪かったわけではないのだ。

今の時代には身につけにくいスキルを、その当時の我々はしっかり学んでいたのだ。

 

結果としてそこにかけてきた時間は、お金となって返ってきた。

今なら、そう思えるのである。

 

極貧なのに浪費して手にした物や時間は、

無駄にしかならなかったですけどね・・・。

 



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