経営者も、美容師も、忘れてはいけない事ってあるよね。

失敗から学ぶ美容室経営。

私がこの業界に入ったときは・・・

 

ってな書き出しをすると、「出た、年寄りの小言」「はいはい、武勇伝ね・・・」

なんて言われるのだと思うのですが、

 

時代の流れが「大切な何か」薄めつつあるような気もするのです。

 

そもそも、この業界は何らかのスキルを持って入ってくる世界というわけではない。

 

狭き門どころか、参入障壁が低く「ちょっと頑張れば参入できる」業界。

 

甲子園で活躍したり、スカウトの目に留まってドラフトで指名されるなんてことは無く、せいぜいSNSの「フォロワー数」が、ある意味入社前の実績、バロメーター。

 

フォロワー数が多いから「個人発信力がある」→「集客が見込める」

フォロワー数が入社の条件というところもあります。

 

しかし、みんながそのようなサロンを目指しているかといえばそうではなく、引く手あまたの超売り手市場。

 

今や初任給は20万以上というのがほとんど。(私は手取り10万もらえてませんでした)

 

それに美容学校に入学した時点で、その後は好条件の美容室がわんさか選び放題なわけです。

うらやましい。

 

美容学校はスタイリストを育成してサロンに送り出すわけではなく、あくまでも国家試験を合格に導き、技術とマインドの基礎を学ぶ。そんな感じ。

2年間で即戦力スタイリストが創られるわけではない。

つまり育成はサロン側、というのが現実。

まあ、そうあるべきかとは思う。

 

厳しい言い方をすると、会社としては「赤ん坊」を預かるようなものである。

 

約20年間生きてきた中での価値観や人生観だけでは生きていけないのが現実である以上、美容の世界においては極端に言えば「大人の形をした赤ん坊」ではないかと。

 

まだ武器も持っていなければ、何も経験していない。

 

そんな状態でも、サロン側は「好待遇」で迎えてくれてるのである。

 

しかし、それは我々含め諸先輩方が好待遇と感じることであり、学生時代からガイダンスなどで多くのサロンから「好待遇」「人間関係良好」「プライベート充実」「福利厚生充実」など盛りだくさんの労働環境を提示された学生からしたら、

それが「あたりまえ」であり好待遇とは思っていない学生が多数派だと思うのです。

 

私は言いたい。

 

「厳しいよ」「大変だよ」「理不尽だよ」「修行だよ」「競争だよ」「みんなライバルだよ」

 

だって、そうじゃなきゃいけないと思うのです。

 

好条件を手にしたくて、約束された将来を手にしたくて、美容師になったわけではないのだから。少なくとも、私はそうです。稼げるなんて思って美容師になってません。

 

美容師という合格率の低い狭き門を突破する為に学生時代すべてをささげてきた。

そんな人、います?いないでしょ。

 

まあまあ、お金があれば美容学校入れたし、ちょっと頑張ったら国家試験受かったでしょ?

 

何度も何度も落ちたけど、それでもあきらめずに受け続けてやっと受かった!

って人、います?いないでしょ?いたら本当にごめんなさい!

 

それだけ、美容師の敷居は低いのですよ。

 

てことは、多くの人が簡単にまたげる敷居なわけだから、当然のように参入者数も多いのですよ。

人口が減る中、そして美容師と美容室が増える中、どう考えたって「のほほん」としてていい給料もらえるわけがないわけです。

 

条件がどう、先輩がどう、社長がどう、システムがどう、などと好き嫌いや損得勘定だけで成功を手にできるほど甘くない世界ってことだけは確かなわけです。

 

私は言いたい。

 

「厳しいよ」「大変だよ」「理不尽だよ」「修行だよ」「競争だよ」「みんなライバルだよ」

 

美容師ってそういうもんだと思ってやらないと、勝てないと思うわけです。

 

私は美容師がまずわかってなければいけないのはそこだと思うわけです。

 

先輩たちはそんな中を生き抜いてきて、後輩に経験と実績という「時間をかけないと手にできない物」「無償」「時間をかけて」伝授しているわけです。

 

入社しただけで手に入れられる「好条件」や「高い初任給」には美容師としての価値は無いのです。

 

そんなものに感謝など感じません。だって最初からあるもんだし、努力して手にしたものではないから。

 

本当の意味での好条件というのは会社や先輩達の積み重ねた「技術」「知識」「考え方」を叩き込んでくれるサロンを「好条件」のサロンというのではないか。そう思うわけです。

 

それを当たり前と思わず、無償で給料もらいながら、自分が今後生きていくための武器を磨かせてもらっていると思えば、自然とそこに「感謝」が生まれると思うのです。

 

しかし、それすらもありまえと思ってしまうから、技術だけもらって「デビューしたらやめて他のサロンいこー」ってなるわけです。

 

せめて先輩たちに成長した証(売上)を示してあげるべきではないかと思うわけです。

 

私は言いたい。

 

「厳しいよ」「大変だよ」「理不尽だよ」「修行だよ」「競争だよ」「みんなライバルだよ」

 

この先に栄光があると。

 

それをなんでもかんでも「ブラック」という表現でひとくくりにして、美容業の本質を無視して、多様性って言ってみたり、時代遅れと言ってみたり。

 

ふざけんじゃないわよまったくぅ。そう思ってしまうわけです。

 

「美容師すぐにやめてしまう問題」も、この過保護に偏りつつある業界の流れなのではなかろうか。

 

指名客も増えない、スピードもクオリティも上がらない。

でも稼げる。

 

そんな業界だったら日本国民みんな美容師になるっつーの。

 

 

 

何がブラックで、何がホワイトなのか。

UnsplashKelly Sikkemaが撮影した写真

 

一見ブラックに見えるその先にホワイトがあり、

 

一見ホワイトに見えるその先は、案外ブラックが潜んでいるのでは?

 

だからこそ、経営者も、美容師も忘れてはいけない事。

 

それは、自分の会社は、自分の仕事は、

 

自分だけの力で成り立っているわけではなく、

 

たくさんの人たちのおかげで、今があるということです。

 

是非、一時の感情や目の前の損得に流されず、

 

どんな波が来ても乗り越えられる強靭な精神を、共に育んでいけたらと思うわけです。

 

サーフィンだって最初は小さい波でも怖いしうまく立てないけど、成長すると大きな波に挑みたくなる。そしてたいていの波は乗りこなせるようになる。

 

波がない人生って、つまんないよね!

 

サーフィンしたことないけどね!

 

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