先日、映画「セッション」 を観た。
まーー。かなり疲れる映画だった。
え、何がいけないの?そんな怒る?キレすぎじゃない?
でも、強烈に考えさせられた。
あれは単なる音楽映画ではなく、 “才能と狂気”の映画だと思う。
観ながら、ふと 昔の美容業界を何度も思い出した。
深夜まで続くレッスン。
張り詰めた空気。
練習しないで帰ることへの罪悪感と、先輩や店長の目・・・。
「もっとできるだろ」
「その程度で満足するな」
今なら厳しすぎると言われるような指導も、 昔の美容業界には確かにあった。
もちろん、 全部が正しかったとは思わない。
理不尽なこともあったし、 必要以上に人を傷つける指導もあった。
シャツのボタン開けてネックレスが生意気というだけで、「お前なんなんだ?帰れ!」
と言われた事あったな・・・。帰ったけど。
翌朝来たら、「お前なに帰ってんだ!ふざんけんな!」
・・・。なんなん・・・?
暴力なんてもってのほかだと思う。殴られたという後輩もいた。
正直、 私は高圧的・威圧的な指導が好きではない。
自分自身、 そういう指導者についていきたいとは思わないし、 その感覚は今の若い世代と近い部分もあると思う。
でも一方で、 指導者の好き嫌いだけで、 美容そのものを嫌いになったことはない。
結局、 大事なのは、 お互いが本気で美容を好きかどうかなんじゃないかと思う。
「上手くなりたい」
「成長してほしい」
その気持ちがちゃんと伝わっている環境なら、 多少厳しいことを言われても、 不思議と“理不尽”には感じにくい。
逆に、 熱量のない指導や、 感情だけの圧力は、 すぐに見抜かれてしまう。
最近は、 「厳しさ=悪」 として語られることも多い。
確かに、 昔のやり方をそのまま続ければいいとは思わない。
時代は変わったし、 働き方も価値観も変わった。
でも、 優しいだけで人が育つのかと言われると、 それも少し違う気がしている。
美容師は技術職だ。
ある程度の反復も必要だし、 悔しさも必要だし、 「もっと上手くなりたい」 という執念みたいなものも必要になる。
ラクな道だけでは、 なかなか人は限界を超えられない。
そして正直に言えば、 私は、 厳しい指導をしてでも後輩と本気で向き合っている美容師のほうが、 よほど尊敬できる。
技術を教わって、 育ててもらって、 スタイリストになった途端に学ぶことをやめる。
今まで散々教えてもらったのに、 今度は自分が後輩に教えようとしない。
自分の時間や条件ばかりを優先して、 少し売れるようになったら、 給料の高い業務委託や条件の良いサロンを転々とする。
そんな美容師、山ほどいる。
もちろん、 働き方を選ぶ自由はある。
でも、 美容という仕事は、 誰かから技術を受け継いできた仕事でもあると思う。
だから私は、 不器用でも、 熱苦しくても、 本気で後輩と向き合おうとしている美容師を見ると、 やっぱり簡単には否定できない。
映画の中で、 フレッチャーは明らかに異常だ。
でも、 彼は本気で “本物を生み出そう” としていた。
だからこの映画は単純に怖い。
悪役として切り捨てられない。
そこに、 人を育てることの難しさや、 技術を継承する現場の狂気が描かれていた気がする。
美容業界も、 今ちょうど大きな転換期にいると思う。
昔のような根性論だけでは続かない。
でも、 熱量まで失ってしまったら、 この仕事の魅力そのものが薄くなってしまう気もする。
厳しさが人を育てるのではなく、 本気さが人を動かす。
『セッション』を観ながら、 そんなことを考えていた、
ってだけの話です。


