美容師として30年。
そして、美容室を経営するようになって十数年。
これまで本当にたくさんの美容師を見てきました。
技術が上手な美容師。
接客が上手な美容師。
センスのある美容師。
勉強熱心な美容師。
そして、なかなか売上が伸びない美容師。
そんな人たちを見てきて、最近つくづく思うことがあります。
売れる美容師と、売れない美容師の違いって、結局「素直」に「考えて」「動いてる」それだけ、かと。
もちろん、才能も環境も関係します。
でも、それだけでは説明できないことが、現場では山ほど起きるんですよね。
「知っている」と、「やっている」は違う。
美容師って、勉強する機会が本当に多い仕事です。
カット講習、カラー講習、接客セミナー、SNSの勉強会。
今ならYouTubeやInstagramを開けば、無料でいくらでも情報が手に入ります。
便利な時代になりました。
でも、ここでひとつ質問。
その勉強したこと、実際にやっていますか?
講習を受けて満足。
動画を見て満足。
「なるほど!」と思って満足。
そして翌日、いつもと同じ仕事をする。
……いや、何のために勉強したのよ、って。
知識を増やすことは大切です。
でも、知識を持っているだけでは、お客様の髪は綺麗にならないし、指名も増えません。
知識は、使って初めて価値になる。
前回の記事でも書きましたが、技術を増やすことだけが成長ではありません。
学んだことを、目の前のお客様にどう生かすか。
そこまでやって、初めて勉強した意味があるんです。
売れる美容師は、特別なことをしているわけじゃない。
例えば、再来率を上げたいと思ったとします。
売れる美容師は、何かしら行動します。
カウンセリングの聞き方を変えてみる。
次回来店の目安を伝えてみる。
仕上げのときに、家でのスタイリング方法をもう少し丁寧に説明してみる。
お客様が前回話していたことを覚えておく。
ひとつひとつは、決して難しいことではありません。
でも、これを実際にやる人と、やらない人がいる。
そして、やった人の中でも、続ける人と、すぐにやめる人がいる。
ここで差がつくんです。
売れる美容師が、毎日ものすごい革命を起こしているわけではありません。
小さな改善を、誰よりも多く積み重ねている。
僕はそう思います。
目標は、頭の中に置いておくだけではもったいない。
昔、目標を紙に書いた学生は、そうでない学生より将来の収入が圧倒的に高くなった、という話を聞いたことがあります。
ただ、この有名な話には確かな研究の裏付けがありません。
なので、数字をそのまま信じる必要はないと思います。
でも、目標を書き出すこと自体には意味がある。
なぜなら、頭の中にあるだけの目標は、日々の忙しさの中で簡単に忘れてしまうから。
例えば、
「もっと指名を増やしたい」
これだけでは、何をすればいいのか分かりません。
だったら、
「半年後に指名売上を月10万円増やす」
「そのために、毎回のお客様への提案をひとつ増やす」
「毎月、再来率を確認する」
ここまで具体的にしてみる。
目標が見えると、今日やるべきことも見えてきます。
大切なのは、紙に書いたことそのものではなく、書いた目標を毎日の行動につなげることです。
壁に貼って満足していたら、結局同じですからね(笑)。
誰と一緒にいるかで、自分の基準は変わる。
もうひとつ、大切だと思うことがあります。
それは、自分が普段、誰と関わっているか。
人って、周囲の影響を想像以上に受けるものです。
仕事に前向きな人と一緒にいれば、自然と仕事の話が増える。
技術を磨いている人と一緒にいれば、自分も勉強しなきゃと思う。
逆に、いつも誰かの悪口を言っている人と一緒にいれば、いつの間にか自分もそんな話ばかりするようになる。
怖いですよね。
「ミラーニューロンの法則」はご存じでしょうか?
ミラーニューロンとは、自分の目の前の人の「行動」や「言動」を無意識にコピーしてしまう法則の事
他人という鏡を使って自分自身を映し出すことで自分を磨く性質の事です。
できるだけ自分がなりたい姿やイメージを持っている人を自分が見る鏡へと映し出したほうが良いので、自分より明らかにレベルが高い人を目標にし、自分からできる限りコンタクトを取ったほうが良いわけです。
しかしこれができない人がほとんどで、同レベルや自分より低いレベルの人といたほうが楽で気持ちがいいし、謎の優越感に浸れるので、脳は自然とそちらを求めるわけです。
だからこそ自分からチャンスをつかみに行く人が勝利を手にする、という単純な理論ですね。
自分より技術が上手だなと思える人、考え方がしっかりしてしてるなと思える人、些細なことでも相談できる人、そんな人と時間をともにすると、やはり大きな影響を受ける。
ただし、ここで勘違いしてほしくないのは、売上が高い人が偉くて、低い人がダメだという話ではありません。
大切なのは、その人の姿勢です。
自分の仕事に誇りを持っているか。
お客様に誠実か。
人の成長を喜べるか。
自分が間違っていたときに、素直に認められるか。
そういう人と一緒に仕事をしていると、自分の基準も少しずつ上がっていきます。
逆に、他人を下げることで自分を大きく見せようとする人とは、少し距離を置いた方がいい。
仕事に使える時間は、無限ではありませんから。
「頑張っている」と「成果につながる行動」は違う。
ここは、経営者としても強く感じる部分です。
スタッフが頑張っている姿を見るのは、もちろん嬉しい。
でも、頑張っていることと、成果につながっていることは、必ずしも同じではありません。
毎日忙しく働いていても、売上が伸びないことはあります。
一生懸命練習していても、お客様の満足度が上がらないこともあります。
だったら、一度考えてみた方がいい。
今やっていることは、本当にお客様のためになっているのか。
自分が目指す結果につながっているのか。
行動することは大切。
でも、ただ動き回ればいいわけじゃない。
考えて、行動して、結果を見て、また修正する。
この繰り返しです。
うまくいかなかったら、やり方を変えればいい。
失敗したからといって、そこで終わりではありません。
むしろ、何も試さない方が、ずっともったいないと思うんです。
行動した人と、しなかった人。同じ評価でいいのか。
僕は美容室を経営しているので、給与や評価についても考えます。
技術を磨いている人。
お客様から支持される努力をしている人。
周囲のスタッフを助けている人。
お店全体を良くしようと行動している人。
そういう人たちの努力は、きちんと評価したい。
もちろん、売上だけがすべてではありません。
お客様の再来率や、チームへの貢献も大切です。
ただ、行動して成果を出している人と、何も変えようとしない人を、何もかも同じように評価することが本当の公平なのか。
僕は違うと思っています。
平等に機会を与えることと、成果を同じように扱うことは違う。
頑張った人が報われる。
そして、これから頑張ろうとする人にもチャンスがある。
そんな美容室でありたいと思っています。
不安を減らす一番の方法は、行動すること。
これからの美容業界がどうなるのか。
AIがどこまで進化するのか。
働き方がどう変わっていくのか。
正直、誰にも分かりません。
僕自身、美容室を4店舗まで増やし、今は1店舗を経営しています。
その間に、業界も、スタッフの価値観も、自分の考え方も変わりました。
昔の成功体験が、今も通用するとは限らない。
だからこそ、変わることを恐れていてはいけないと思う。
不安があるから、勉強する。
不安があるから、技術を磨く。
不安があるから、新しいことに挑戦する。
不安がなくなってから動くんじゃない。
動くことで、不安を少しずつ小さくしていく。
もちろん、行動すれば必ず成功するわけではありません。
でも、何もしなければ、何が正解なのかも分からない。
美容師として30年やってきた僕も、まだ試行錯誤の途中です。
まとめ|いいから、とにかくやればいい。
売れる美容師になりたい。
もっと指名を増やしたい。
もっとお客様に喜んでもらいたい。
そう思っているなら、今日から何かひとつ変えてみてください。
大きなことでなくていい。
カウンセリングの質問をひとつ増やす。
いつもより丁寧に次回の提案をする。
苦手な技術を30分練習する。
尊敬する美容師に、自分から話しかけてみる。
そして、やってみた結果を振り返る。
それだけでも、昨日の自分とは違うはずです。
矢沢永吉さんが、こんな趣旨のことを語っていました。
「いつの時代も、やる奴はやるし、やらねー奴はずっとやんない。」
厳しい言葉ですが、僕は結構好きです。
あれこれ考えることも大切。
でも、考えているだけで人生が変わるなら、誰も苦労しません。
最後に、昔の自分が書いた言葉を、そのまま残しておきます。
んー、いいから、とにかくやればいいのでは?
……もちろん、ちゃんと考えてからなんだろうけど、
私は動いてから考える見切り発車タイプです。
あ、だから失敗したのか・・・


