私は美容室・美容師の未来の繁栄を願って、ブログを書いております。
美容室という箱がいくら良くても、中身の美容師が良い技術とサービスを提供できない限り、
お客様には選ばれません。
ですから正解がないのですが、そこに正解を出すのはお客様ということになります。
これから述べることも正解ではないですし、決めるのはお客様。
私はずーと前からスタッフに伝えている事があります。
それは、
「髪の毛は切るものではない、残すものだ」
ということです。
毎回、「?」な感じの表情のスタッフ達。
最初は、「何言ってんのこいつ、バカじゃねーの」と思っていたでしょう。
これは何が言いたいかと言うと、
「どう考えるかで、プロセスも変わってくる」
ということです。
自慢でもなんでもなく、私はおそらくカットが異常に速いです。
速すぎて止まって見えるぐらいです。嘘です。
もちろんすべてがそうではないですが。スタイルチェンジとか。
私はこう見えて、怠け者です。
できるだけ怠けたい。
だから、やらなくていいことはやりたくない。
いや、誤解される・・・。
「やる必要のない事まで、やる意味がわからない」
というのが適切ですね。
前にも言ったように、私は美容師の仕事の仕方に正解も不正解も無いし、
正直そこまで強い拘りもない。
学生時代も軟式のテニス部でしたからね。ボールも脳みそもブヨンブヨーン。
でも美容師さんってすごくマジメな人もたくさんいます。
基本に忠実に、プロセスもきっちりしている。
素晴らしいことです。
ベーシック大事。
そうあるべきです。
しかし、こういうマジメでまっすぐな傾向にある美容師さんに多いのが、
「お客様の思ってる以上に切りすぎてしまう」ことです。
そして、
「染めなくていい箇所も染めてしまう」のです。
そして、
「曲げなくていい箇所も曲げてしまう」のです。
つまり、
「引き算の美学」の魅力に気付いていない。
お客様はカットしに来てるんだから切らなきゃ!
染めなきゃ!かけなきゃ!
と、マジメにまっすぐに仕事をしてしまうのです。
髪の毛は本来重力に従って下に降りるものです。
残っている髪の毛が、形を作っているわけです。
残った髪の毛はだいたい乾いた状態なわけです。
常にびしょびしょな人はアリエルぐらいです。
カット大好きな美容師さんは、自身のカットの正確さやこだわりを発揮すべく軽快にハサミを動かし、どんどんカットしていくのです。
「髪をカットする」
という意識だと、自分では気が付かないレベルで、実は若干力が入っているので、髪の毛がやや強めに引き出されています。
髪の毛はきっぱられると伸びるので、伸びた状態で切ると離したとき縮みます。
「髪の残す」
という意識だと、自分では気が付かないレベルで、若干肩の力が抜け、髪の毛の引き出し方が優しくなります。
実はブローも同じで、
「しっかりブローする」
という意識だと、ドライヤーの乾かし方やブラシのテンションのかけ方で、お客様の頭がグラグラ動いたりして雑に、悪く言うと乱暴に感じさせてしまうのですが、
「きれいな艶をだす」「可愛く仕上げる」
という意識だと、自然と動きが柔らかくなり、お客様の表情にも気を配れるようになります。
要は意識が、「プロセス」と「結果」のどちらに強いベクトルが向かっているかです。
この違いの差は小さいようで大きい。
阿藤快 と 加藤あい ぐらい違うのです。(古・・・)
サロンワークもそうですし、コンテストや撮影でもそうです。
足し算ばかりしてると、思いのほか時間がかかった割にピンとこない。
全身高級ブランドで固めた人を見て、「すごい金持ち」「成金」「セレブ」
と思うかもしれませんが、
「おしゃれ」「センスがいい」と思うことは少ないです。
日本人は「高級ブランド」=「おしゃれ」と錯覚する人も多いようですが、
トレンドを取り入れた素朴なファッションの中にさりげなくブランドを取り入れる、
ぐらいの方が「センス」が良い「おしゃれ上級者」だったりします。
だから髪の毛もあれこれ足し算せずに、
今ある素材美をうまく残しつつ、「プロとしてのひと手間」をさりげなく加え、最終的に素敵に仕上げることを、できるだけ短時間で効率よく行うのが、
「プロ」だと思うわけです。
短時間だと、最後にチェックする時間も増えるわけです。
どうでしょう、「引き算」の方が美しくないですか?スマートではないですか?
私が単なる怠け者ではないと、わかっていただけただろうか・・・。
そうですね、例えるなら・・・
アニメ・クレヨンしんちゃんの「ボーちゃん」ですかね。
わかります?よね?