もっと売れたい美容師さん達へ③ 「髪は切るものではない。残すものだ。」 売れる美容師が知っている“引き算”の技術

『売れる』美容師になろう!

①では**「時間」**について。

②では**「学びと行動」**について書きました。

売れる美容師ほど、お客様の時間を大切にする。

そしてスタイリストデビューした後も、学び、行動し続ける。

では今回は、もう少し技術の話をしてみようと思います。

僕が昔からスタッフに言い続けている言葉があります。

それが、

「髪の毛は切るものではない。残すものだ。」

です。

初めて聞いたスタッフは、だいたい「?」という顔をします。

おそらく心の中では、

「この人、何言ってんだ?」

と思っていたでしょう(笑)

美容師なのに、髪を切るなと言っているわけですから。

でも僕が言いたいのは、

本当に切るなということではありません。

どう考えるかによって、仕事のプロセスは変わる。

ということです。

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「切る」と考えるか、「残す」と考えるか

自慢でもなんでもないのですが、

僕はたぶん、カットがかなり速い方です。

速すぎて、止まって見えるくらいです。

……嘘です(笑)

もちろん、大きなスタイルチェンジや難しいケースなら時間はかかります。

でも基本的には速い。

なぜか。

①でも書きましたが、僕は無駄なことをあまりしたくないからです。

こう書くと、

「単なる怠け者じゃねえか」

と思われそうですが(笑)

少し違います。

正確には、

「やる必要のないことまで、やる意味が分からない」

という感じです。

必要ならやる。

必要じゃなければ、やらない。

これ、実は美容師の仕事ではものすごく大事なことだと思っています。

真面目な美容師ほど「やりすぎる」ことがある

美容師には、本当に真面目な人が多いです。

ベーシックを大切にする。

教わった工程を守る。

細かくセクションを取る。

一つひとつ丁寧に仕事をする。

素晴らしいことです。

僕もベーシックは大事だと思っています。

ただ、真面目だからこそ陥ることもある。

それが、

「やりすぎる」

ことです。

切らなくてもいいところまで切る。

染めなくてもいいところまで染める。

曲げなくてもいいところまで曲げる。

トリートメントもする。

アイロンも入れる。

スタイリング剤もつける。

お客様が美容室に来たんだから、

何かしてあげなきゃ。

美容師だから、

技術を見せなきゃ。

そんな気持ちが、知らず知らずのうちに出てくる。

でも、

本当にそれは必要なのでしょうか。

美容師の仕事は「足すこと」だけではない

僕は長く美容師をやってきて、

むしろ逆なんじゃないかと思うようになりました。

プロの仕事というのは、

「何をするか」だけではなく、「何をしないか」を判断すること。

カットなら、

どこを切るかではなく、

どこを残すか。

カラーなら、

どこを染めるかではなく、

どこを染めなくていいか。

パーマなら、

どこを曲げるかではなく、

どこはそのままでいいのか。

お客様が元々持っているものを全部リセットして、

美容師がゼロから作品を作るわけではありません。

髪質がある。

クセがある。

骨格がある。

毛流れがある。

過去の履歴がある。

そして、その人らしさがある。

それらを全部否定して、

「美容師である自分が何とかしてやろう」

とすると、どんどん仕事が増えていきます。

でも、

今ある素材を活かせるなら、活かせばいい。

それが一番自然だし、

一番髪に負担が少ないし、

結果的に一番早かったりする。

僕はこれを、

「引き算の美学」

だと思っています。

髪は「切った部分」ではなく「残った部分」で形になる

当たり前の話なんですが、

カットが終わったあと、

お客様の頭に残っているのは、

切った髪ではありません。

床に落ちている髪がヘアスタイルを作るわけじゃない(笑)

頭に残った髪が、形を作っています。

だったら、

「どこを切るか」

よりも、

「どこに、どれだけ髪を残すか」

を考えた方が、僕には自然なんです。

髪は基本的に重力に従って落ちます。

そしてお客様が普段生活しているとき、髪はほとんど乾いています。

四六時中びしょびしょなのは、

たぶん海の中にいるアリエルくらいです(笑)

だから僕は、

濡れている状態で完璧なカットラインを作ることだけに夢中になるより、

最終的に乾いたとき、どこに髪が残っていれば素敵なのか。

そこから逆算して考える方が大事だと思っています。

意識が変わると、手の力まで変わる

これ、感覚的な話なんですが、

「髪を切る」

と思って仕事をすると、

ほんの少しだけ手に力が入ります。

正確に切ろう。

ここを切ろう。

このラインを出そう。

そう思えば思うほど、髪を引き出す力も少し強くなる。

髪は引っ張れば伸びます。

伸びた状態で切れば、離したときに戻ります。

逆に、

「ここに髪を残そう」

と思って触ると、不思議と力が抜ける。

髪の落ちる位置を見る。

毛流れを見る。

クセを見る。

必要以上に引っ張らなくなる。

ほんの小さな違いです。

でも、サロンワークでは、

こういう小さな違いの積み重ねが仕上がりを変えるんだと思います。

ブローだって同じ

これはカットだけの話ではありません。

ブローでも同じです。

「しっかりブローしよう」

と思うと、

ブラシにテンションをかける。

ドライヤーを当てる。

一生懸命伸ばす。

場合によっては、お客様の頭までグラグラ動いている(笑)

美容師本人は、

「丁寧にブローしている」

つもりです。

でも、お客様からしたら、

ちょっと乱暴に感じることもある。

一方で、

「綺麗な艶を出そう」

「この人を可愛く仕上げよう」

と考えると、

不思議と動きが柔らかくなる。

髪だけではなく、お客様の表情も見るようになる。

ここで違うのは、

プロセスを目的にしているか、結果を目的にしているか。

だと思うんです。

「ちゃんとブローする」が目的なのか。

「綺麗にする」が目的なのか。

似ているようで、全然違います。

技術を見せることが目的になっていないか

美容師は技術職です。

だから、自分の技術にこだわる。

それ自体は素晴らしい。

でも、

技術にこだわりすぎると、

このラインより上のエリアが無料で表示されます。

「技術を使うこと」そのものが目的になることがあります。

レザーを使いたい。

スライドカットを入れたい。

ハイライトを入れたい。

酸性ストレートを使いたい。

新しい薬剤を使いたい。

もちろん必要なら使えばいい。

でも、

お客様が素敵になるために必要なければ、やらなくてもいい。

僕たちは技術を披露するために、お客様の髪を借りているわけではありません。

お客様を素敵にするために、

必要な技術を選んでいる。

主役は、

美容師の技術ではなく、

お客様です。

ここを間違えないようにしたい。

センスがいい人は、足しすぎない

これはファッションでも同じだと思っています。

全身を高級ブランドで固める。

バッグもブランド。

靴もブランド。

時計もブランド。

アクセサリーもブランド。

もちろん、それが好きなら全然いい。

でも、

「お金をかけている」

とは感じても、

必ずしも、

「センスがいい」

と感じるとは限らない。

シンプルな服の中に、

時計だけ良いものを使う。

靴だけこだわる。

バッグだけ少し良いものを持つ。

そういう人の方が、

「あ、この人おしゃれだな」

と感じることがあります。

美容も同じです。

全部やればいいわけじゃない。

必要なものだけを残す。

そこに、

プロとしてのひと手間を加える。

僕は、そのくらいが美しいと思っています。

「何もしない」という技術もある

若い頃は、

たくさん技術を使える美容師が上手いと思っていました。

でも30年やっていると、

逆のことも思います。

何もしない判断ができる美容師は、強い。

「ここは切らなくていいですよ」

「今回はカラーしなくても大丈夫ですよ」

「この部分はストレートをかけなくてもいいと思います」

そう言える。

美容師からすれば、

売上が下がることもあるかもしれない。

でも、

お客様からすれば、

「この人は必要のないものを勧めない」

という信頼になる。

その信頼は、

一回のトリートメント料金より、

ずっと価値があるんじゃないでしょうか。

①で書いた「時間」にもつながってくる

ここで、①の話につながります。

余計なことをしない。

必要なことだけをする。

そうすると、

当然、仕事は早くなります。

だから僕が言っている、

「早い=雑ではない」

という話にもつながる。

むしろ、

何をやらなくていいか判断できるから、

仕事が早い。

そして空いた時間で、

最後のチェックができる。

お客様と話せる。

仕上げを丁寧にできる。

次回の提案もできる。

お客様を予定より早く帰してあげることもできる。

つまり、

引き算できる美容師ほど、必要なところに時間を使える。

これも時間生産性なんです。

売れる美容師ほど「全部やろう」としない

売れる美容師を見ていると、

何でもやっているようで、

実はそうでもありません。

判断が早い。

必要なことが分かっている。

だから、

やらなくていいことも分かっている。

技術が少ないわけではない。

むしろ引き出しは多い。

でも、

引き出しが多いからといって、全部開けない。

お客様に必要な引き出しだけ開ける。

これがプロなんだと思います。

②では、

知識量×行動量

という話を書きました。

たくさん学ぶ。

たくさん経験する。

たくさん失敗する。

そうやって引き出しを増やす。

でも、その先にあるのは、

増やした引き出しから、何を使わないかを選べる力。

なのかもしれません。

髪の毛は、切るものではない。残すものだ。

改めて。

僕がスタッフに昔から言っている、

「髪の毛は切るものではない。残すものだ。」

という言葉。

これは別に、

カット理論だけの話ではありません。

美容師として、

何をするのか。

そして、

何をしないのか。

その両方を考えるということです。

技術を足す。

商品を足す。

メニューを足す。

時間を足す。

それだけがサービスではない。

削る。

省く。

残す。

任せる。

そして、

最後にほんの少しだけ、

プロとしての仕事を加える。

それでお客様が素敵になるなら、

その方がスマートじゃないでしょうか。

もっと売れたい。

もっと上手くなりたい。

そう思うと、

僕たちはついつい、

「もっと何かをしなければ」

と考えます。

でも時には、

逆かもしれない。

「何をやめるか」

「何を残すか」

そこに、もう一段上の美容師になるヒントがある気がしています。

まあ、ここまで偉そうに「引き算の美学」を語ってきましたが、

単に僕が怠け者だから、

後付けでそれっぽい理論を作った可能性もあります(笑)

でも30年続けてきて、

今でもこの考えは変わっていません。

髪の毛は、切るものではない。残すものだ。

美容師の仕事って、

案外そんなものなのかもしれません。

なんてね。

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